知的財産保護に日系企業が団結  - 第2回韓国IPGセミナー開催 -( 記事の出所: 韓国IPG ) 2010.07.01
知的財産保護に日系企業が団結
 
第2回韓国IPGセミナー開催
 
韓国知的財産グループ(IPG)は15日、各社の模倣品対策戦略を共有するセミナーを開催。計34社・56名が参加するなか、韓国ダイワ精工(講演:阿部孝一・代表理事)、ポケモンコリア(長谷川裕史・代表理事)、YKK韓国(朴ジンウ氏)の3社が、各社の事例と「工夫」を披露した。日系企業が集う韓国IPGは、韓国での知的財産(IP)諸問題に対処する企業グループとして今春に発足。メンバー間の情報交換の場として、また、韓国政府と協力活動を進める母体として、ソウルジャパンクラブ(SJC)知的財産委員会(委員長:佐々木慶弘・YKK韓国代表理事)と日本貿易振興機構(ジェトロ)ソウル・センターが中心となり活動を進めている。

 

第2回韓国IPGセミナー:会場の様子
 
 

「侵害品に対しては“即アクション”という姿勢で、ジャブを連発する」(阿部氏)――。しかし、偽物は韓国各地に散在している。韓国ダイワ精工の釣り具などは全国の釣り場近くの釣具店に、また、ポケモンコリアのカードゲームやシール類は韓国国内に約2万店舗ある学校周辺の文具店に出回る。

こうした販売店が、正規品の取引先であることも対応を難しくしている。日本の有名企業が韓国の零細企業を相手に強硬な手段に出たと報道され、韓国社会から指弾されるケースもあるためだ。韓国ダイワ精工が「見逃すわけにはいかない」との姿勢で警告書を送付するのに対し、子どもたちに夢を伝えるポケモンコリアの場合は、抜本的な解決にはならない零細小売店に対しては啓発活動にとどめ、問屋や税関での取り締り(中国など海外からの流入阻止)に強い姿勢で臨む策をとる。YKK韓国のように、韓国政府の団体、貿易関連知識財産権保護協会(TIPA)に加入していれば、同協会を通じて警告することにより相手方との関係悪化は回避できる。しかし、同協会の会費は高額であり、韓国での知財保護のあい路となっていると韓国IPGでは問題視している。

 

 韓国ダイワ精工の模倣品対策事例

 
< 本物が偽物を駆逐 >
人気のない商品の偽物は誰も扱わない――。 ポケモンも、ゲームやテレビ番組によって韓国で人気が出始めたころに偽物がわき出てきた。正規品のカードゲームの韓国進出より先に、偽物のカードゲームがヒット商品になってしまい、「これは偽物」と消費者にアピールしたが、正規品がない状況では理解が得られないという厄介な事態を経験した。
消費者意識の管理も重要な対策である。韓国ダイワ精工は「消費者と業界に本家本元を周知する」ため、カタログやホームページ、テレビ・雑誌広告、展示会などあらゆる手段を駆使する。YKK韓国も、模倣品と知らずにいるメーカーに真正品(知的財産)をPRしてビジネスにつなげているという。
また、ポケモンコリアは、韓国でカードゲーム事業を始めるにあたり、本物に対する消費者の「こだわり」を喚起した。「2010年5月13日正式販売/ポケモンカードゲームが来る」とのキャッチコピーは、「待望の正規品」に対する消費者の期待感を高め、その結果、偽物は問屋街から消えていった。
「消費者が喜べば偽物でも良いではないか、といった韓国の意識を変え、韓国を、まっとうなビジネスが侵されることの無い、正しいマーケティングをする国にしたい」との声が参加者からあった。

 

 ポケモンコリアの模倣品対策事例

 
< 模倣品対策の「見える化」 >
YKK韓国における模倣品対策の費用対効果は32倍。すなわち、摘発や広告などにかかった費用2,7000万円に対し、真正品化などによる効果が8億6,000万円(昨年度)である。こうしたデータのほか、店頭での偽物シェア、摘発実績、税関差し止め実績などを各国・地域別のデータとして目に見える形で示す「見える化」の取り組みにより偽物対策に対する社内の意識を高め、また、「摘発ガイドライン」を独自作成し、社員による摘発も進めている。模倣品対策では、韓国人スタッフを含めた社員への意識付けはもちろん、自社の知的財産に対する経営者自身の認識も重要である。
社内での戦略構築において、韓国ダイワ精工の場合は「細かい製品が多種類あり、権利化の費用がかかりすぎて追いかけきれない」との事情もあるなか、商標をそのまま盗用する模倣品が減少する傾向に対応して、今後は特許やデザイン、特に特徴部分を「部分デザイン」として権利化していく方針をとる。 

 

 YKK韓国の模倣品対策事例

 

 

中国でのIPG活動(YKK中国投資社:石川芳明氏講演)

 
 
最後に、上海IPGで模倣品水際対策ワーキング・グループ長を務める石川芳明氏(YKK中国投資社)から、中国のIPGの活発な活動が紹介された。北京IPGの創設から10年がたつ。韓国IPGも今後、持続的に活動を強化して参りたい。メンバー登録(無料)は、以下に掲載の登録書でお願いします。
www.jetro-ipr.or.kr/admin/files/IPG_mem.pdf
 
 
※ 文中の図は、セミナー資料を転載したもの
※ 本稿は、NNA Korea社様のご協力により編集。The Daily NNA 韓国版(6月30付)にも掲載しています。